iPhoneは水没した直後はたいていそのまま動作してしまいます。
それは水が浸入していないのではなく、実際には弱点部分のコネクターまで水が達していないだけで、 内部には必ず水が浸入します。
iPhone7以降を除いてすべてのモデルでは一切の防水処理(あるいは耐水が期待できるような構造)はされていません。またiPhone7以降の耐水テープは経年劣化や油分でその効果がなくなっていきます。
水がかかったら必ず電源を切ってください。
水没でiPhoneをダメにするケースのほとんど全てが水没直後の動作を大丈夫なものとしてそのまま使用していたことが原因です。
からなず電源を切ってください。
(スリープモードではなく、完全OFFにしてください。)
また、電源を切っていても充電も絶対にしないでください。 電源が切れていても充電してしまうと基盤のパワーコントロールICが動作してしまいます。 電源を切っている意味がまったくなくなります。
コネクター内部や基盤の裏の水分は外からいくらドライヤーをあてたり乾燥剤をつかっても除去できません。
乾燥剤を使うとこうなります。
水没直後で、電源を速やかに切っていれば軽度処理としてお安く対応できます。
水没は時間との闘いです。
基盤処理だけであればパーツも不要ですので、直接お電話いただければ当日対応いたします。
iPhoneの水没について、インターネット上の記事には多数の迷信があります。
例えば以下のようなものです。
一見もっともそうですが・・・。
こちらはiPhone6のフロントパネルを開けたところです。
バッテリーと、右側にマザーボード(基盤)があります。
基盤の上部にセンサーケーブルとフロントパネルを接続するコネクタカバー、真ん中やや下あたりにバッテリーとドックコネクタを接続するカバーがあります。
水没直後はフロントパネルと本体との隙間から水が入り込みます。
しかしバッテリーそのものは被覆されているので水がかかっても問題はありません。
フロントパネルの液晶そのものも、水を含んで染みができることはありますが、
大抵動作そのものは可能です。
水没直後、基盤に水がかかっても、基盤の上にあるパーツは同じように樹脂で被覆されているパーツが多く、ICなどもユニット化されているため、水がかかってもすぐにはショートしません。
ショートがおきるのはコネクタ部分です。
コネクタの写真をご覧ください。
この端子同士が水で短絡してショートが起こります。 そしてこのコネクタ部分はカバープレートで覆われているため、iPhone内部に水が浸入しているにも関わらず、すぐにはショートが起きないことが多いのです。
コネクタ同士は密着して接続されていることも一因といえます。
こちらは水没してショートしてしまったiPhone6のコネクター。
水没から1両日経過したものです。
ショート直後は真っ白だったものが、日数が経過するとだんだん酸化して緑色になっていきます
パネル側のコネクター写真。煤が酸化して膨らみ、緑色のモコモコになっています。
湿気を含んだまま放置するとどんどん広がります。
端子表面は金メッキされていても、メッキが焼けてなくなれば酸化は一気に広がります。
ショートが起きると、その場所に大きな電流が流れます。
コネクタ自身にリチウムイオン電池の容赦ないエネルギーが流れ込み、一瞬で赤熱、発火(酸素と反応するレベル)し、溶けて煤になります。
ショート直後は真っ白、時間を置くと錆びて緑色になってどんどん腐食が広がります。(ショートしていない部分のコネクタまでボロボロになってしまう。鉄でいうところの赤錆と同じで、湿気を含んで勝手に錆が広がります。)
ショートが起きたコネクタ部分はコネクタカバーで「密閉」されています。
時間をかければ乾燥そのものは可能ですが、ショートしてできた煤は赤さびと同じでそれ自体が湿気を含みます。
この湿気は乾燥剤やドライヤー等で取ることはできません。
乾燥するより前に錆が先に広がりきってしまいます。
過去の修理事例のヒアリング内容を総括すると大体3日でコネクタ全体に回ってしまっています。
乾燥剤で対応されていたお客様のコネクター写真です。
左右対称だったコネクターの右半分は錆びて溶けてなくなってしまっています。
なくなってしまった端子の復活はできません。
こういったケースでは通常の水没処理では復活できなくなります。
乾燥剤などを使用する場合でも、「乾燥が完了したこと」をどのようにして知るのでしょうか。
分解しない限り外から乾燥したかどうかを確認する手段は、電源を入れるより他にありません。
しかしこのとき、万一水分が抜けきっていなかったら・・・?
iPhoneは水が入りやすく、抜けにくい構造になっています。 ネットの情報を鵜呑みにせず、処理をご依頼ください。